第17回ふるさと回帰フェアによせて
-アフターコロナの日本社会のあり方を展望する-

ふるさと回帰支援センターは今年、設立19年になります。
早いもので、来年は20年。いつの間にかという感がしてなりません。

もともとは、1960年代に集団就職などでふるさとを離れた、いわゆる団塊世代のふるさと回帰を進め、地域からこの国を再生できないかと連合の呼びかけで経団連から農協、生協などさまざま団体の協力を得ながら「100万人のふるさと回帰運動」として2002年11月に立ち上げたものです。低迷の時もありました。しかし、2008年のリーマンショックが、若者たちに地方で暮らすことや働くことによって、新たな可能性を明らかにし、希望を与えました。そして、その当時、移住に踏み切り、ふるさと回帰した先輩移住者はすでに10年を越え、先輩移住者としてそれぞれの地域に根ざし、成果を上げ、活躍しています。

振り返れば、1990年代前半のバブル崩壊が、経済的成長が全てであるかのような国造りに疑問符を投げかけ、新たな価値観による国造りを提案すべきだったにもかかわらず、小手先の政策展開で喫緊の課題解決を先送りし、リーマンショックという金融危機に見舞われ、現在まで続く「失われた30年」と言われるデフレ下のもとでの低成長、経済の低迷につながっているように思います。

こうした中で、昨年来のコロナ禍が追い打ちをかけるように、日本社会に新たな価値観による国造りを迫っているように思われます。それはすなわち、グローバル化や一極集中の見直し、分散型社会の推進など効率化優先の政策推進の見直しではないでしょうか。

こうしたこともあって、4回に渡る緊急事態宣言の発出もあり、移住相談件数は若干減少気味ではありますが、移住実績は全国的にはっきりとした増加傾向にあります。
では、何が課題かといえば移住希望者に比べ、移住者を受け入れ、本気になって地域再生や活性化に取り組みたいという自治体がまだまだ少ないということです。当面、1000自治体のふるさと回帰運動への参加を国民的取り組みとして展開したいと思っています。
コロナ禍であったとしても、地域の過疎化・少子化・高齢化は待ったなしで進みます。コロナ禍を克服し、安全・安心な明日に希望の持てる地域づくりのためにも、さらなるふるさと回帰運動の推進は待ったなしで求められています。

コロナを乗り越え、希望の持てる地域創生のために頑張っていきましょう。
第17回ふるさと回帰フェア2021へのご参加お待ちしています。

認定NPO法人ふるさと回帰支援センター
理事長 高橋 公